夢のマイホーム、豪邸が今
物価高に歯止めがきかず、家計の圧迫も続く中で、所得だけが上がらない、といった記事などを目にすることも多くなりました。
最近お問い合わせいただく物件の中でも、築30~50年ほどの
豪邸をよく拝見します。
・丘の上のロケーション
・二世帯、三世帯を見据えた広い間取りとお庭
・半地下の駐車場と堅牢な擁壁
実際伺ってみても素晴らしい豪邸ですが、昨今の法改正や少子高齢化、人口減少の波を受け、こういったお声を地主様からよく頂戴します。
・丘の上のロケーション→坂道が多く自動車が運転できなくなると、生活が困難
・二世帯、三世帯を見据えた広い間取りとお庭→子供世代は別の地方で居を構え、広い間取りはほぼ使っておらず、倉庫状態
庭の木々は毎年の剪定管理が大変、伐採伐根にも費用がかかる
・半地下の駐車場と堅牢な擁壁→法改正で解体、擁壁の句見直しを求められ、再建築には多額の費用→土地の売却費用が著しく下がる
建築当時は想定しなかった問題が今顕在化しているのですが、人口が増加を続け、土地の開発が進み地価の上昇が続いていれば、
少なくとも土地については購入した時より高い金額で売れる、という前提に立てるはずなのですが、そうではない状況も見受けられるようになりました。
勾配のある地域と崖の問題
隣地と一定以上の高低差がある場合崖と認定され、通常平地であれば不要な擁壁を組む必要があります。またこの擁壁も、がけ崩れを防ぐ堅牢なもである必要があり、昨今の土砂災害などの自然災害リスクに対応するため、その基準も高まる一方です。
隣地と一定の高低差のある土地や、こういった土地の上に立つ建物の場合、将来的に、売却時に大きく査定額を引かれてしまう可能性があることを念頭に置きましょう。
こういった崖に該当する、山を開発した土地は高級住宅街になっていることも多いのですが、かつてのイメージだけではなく、現状の地価、需要がどうなっているのかも考慮に入れるとよいでしょう。
ご年齢を重ね、自動車運転も容易ではなくなった後の生活を考え、平坦な地形の需要が高まってきています。
立地が勾配であったり、隣地と段差がないか念入りにチェックしましょう!
幸い、勾配、坂、がけといった条件は、実際に建っている立地を見れば目視で把握できることが多いです。
丘の上や坂の途中、また、正面から見れば平坦に見える土地でも、周囲に段差がないか、注意深く見てみましょう。
担当している不動産業者の担当者や、建築関係のお知り合いなどに聞いてみるのも良いでしょう。
資料には、簡単に「斜面」「平坦」といった記載があるくらいで、
購入を決めるまで、場合によっては決めてからも詳細を理解されないままといったケースも、ゼロではありません。
豪雨災害や土砂災害などで人的被害が発生するたび、新たな法規制が出来たり、土砂災害警戒区域・ハザードマップの見直し等で、購入当時は災害の危険が示唆されていなかった土地が、新たに災害リスクのある土地として、負の評価を受けてしまう可能性もあるのです。
十人十色、個人の性質が千差万別あるように、土地についてもまったく同じ条件ということは無く、必ずその物件個別の性質が存在します。
物件購入の際、以下の点に注意しましょう。
<資料から>
①地勢 という欄に「斜面、斜面在り」など、平坦以外の記載がないか
②擁壁、崖といった記載がないか
③地域のハザードマップ上で、土砂災害警戒区域等に該当していないか
<実際内覧の際>
①実際に内覧した時、土地の周辺が坂になっていたり、隣地と段差がないか
②隣地との間に擁壁がないか
③造成、擁壁が現行法に適合するものかどうか→見ただけではわかりづらいので、不動産業者さんに確認しましょう。
上記のような物件の場合、
①家を建築する前の造成など、地面を触るのに想定外の費用が必要なことがある
②家を建てられる土地の範囲が制限され、思い描いていたボリュームの家が建てられない可能性がある
端的に申し上げると、
平坦地に比べて想定と違うことになりやすい、と言えます。
また、購入の際には
①近隣の生活施設が徒歩、自転車でも10分以内で行ける範囲にあるか
②周辺や前面道路が急な坂道を通らなければ公共施設に行けない、という環境ではないか
③人口・地価の動向はどうか(極端に下落傾向ですと、今は生活環境が整っていても、いずれ撤退して不便になる可能性があります)
入口の部分として、不動産の購入時は、結婚、転居等、新しいことに胸躍るタイミングですが、大事な時だからこそ、出口、その不動産を売却したり、住まなくなることまで考えて購入されるのがよいかと思います。
いかがでしたでしょうか。
高台に位置する物件は、眺望、風通し、陽当たりなどが優位になりやすい利点もありますが、これまで記載したようなことに留意し、充分納得したうえで購入するようにしましょう。
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